<熱中症による頭痛はなぜ起こる>

熱中症では、頭痛やだるさ、吐き気といった症状がでます。

体温も上がるので、熱と頭痛で風邪と間違えられることもあります。

熱中症になると、なぜ頭痛が起こるのでしょうか?

そして、熱中症の頭痛を和らげるには、どうするのが良いのでしょうか?

熱中症になると、体に熱がこもって体温が上がります。すると熱や脱水が原因で、血液中に炎症物質が増えてしまいます。この炎症物質は体が出している危険信号なのですが、これが頭痛の原因です。

 

熱中症になる → 体が危険信号(炎症物質)を出す → 頭痛が起きる という流れです。

 

熱と脱水が頭痛の原因なので、市販の頭痛薬を飲むだけでは、効果は十分に得られません。

体を冷やして水分補給をすることが一番の治療になります。特に、強い熱中症で低血圧のときに頭痛薬を飲むと、更に血圧が下がって危険なので注意が必要です。

 

<熱中症の頭痛は長引くことがある>

涼しい場所でゆっくり休んで、水分・塩分補給をするだけでよくなる場合も多い熱中症ですが、頭痛やだるさといった症状がしばしば数日間続くこともあります。

「日曜日に炎天下でスポーツをした。その後からぐったりとしてしまい病院を受診。熱中症と言われて点滴をしたけれど、水曜日になってもまだ頭痛が続いていて……。頭以外は大丈夫なんですが……」

これは熱中症としては、典型的なパターンです。熱中症は、よく食べよく寝て、一晩たてばすっきり治るという病気ではありません。

水分補給を正しくしても、体内のバランスが整い切るまでには数日間のズレがあります。

それが原因で、治療をしてから何日も頭痛やだるさが続いてしまうのです。

この症状が続いている最中は、体が特に熱中症に弱い状態です。辛い間に無理をして、2回目の熱中症にならないようぜひ注意してください

 

<隠れ熱中症に注意>

隠れ熱中症は、「なんか昨日から体がだるくて食欲が出ない。今朝熱を測ったら38度あって、頭痛もする。市販の頭痛薬を飲んでたんだけど夜になっても辛いままで……」

こういう症状も多くあります。本人は風邪だと思っていても、実は熱中症だったということは珍しくありません。

炎天下の運動中に倒れたら熱中症だと誰もが気づくのですが、外出してから時間差があって体調が悪くなるケースや、運動ではなくただ外を長時間歩いていただけというケースでは、特にこの「隠れ熱中症」になりやすいと言えます。

その場合でも頭痛や吐き気、めまいといった熱中症の症状は共通です。風邪と違うのは、ふつう熱中症では、鼻水が出たりのどが痛くなったりはしないという点です。

暑い日にだるくて頭痛がして、熱中症かもしれないと思ったら、次に説明する方法を参考に応急処置をとってみてください。

 

熱中症ですぐに対応できる応急処置

 

軽い熱中症(1度の熱中症)に対する応急処置としては、このような点にまず気をつけます。

・直射日光を避ける

・風通しの良い場所、または、冷房の効いた室内へ移動する

・太い血管がある場所(、脇の下、足の付け根)を冷やす

・休んだ後に、水分と塩分を十分にとる

 

体を冷やすときは血管の近くを冷やすと、体の表面だけでなく体全体を効率良く冷やすことができます。また、クーラーだけでなく扇風機も有効です。冷たい風を送るだけでなく、

体の表面の汗が蒸発する際に体の熱も一緒に逃がしてくれるためです。

ただし、体を冷やそうとするときには、医学的にひとつだけ注意をしなければいけないことがあります。それは重症の熱中症の場合です。

重症の方は今のような方法では治らず、また、体を冷やす方法にも気をつけないと逆効果の場合があります。

意識がない、反応がにぶいなどの症状があれば、現場での応急処置をあれこれ工夫するよりも前に、病院を受診するか救急車を呼ぶことが肝心です。

病院内ではウォーターマットを使用したり、血管に管を入れて血液ごと体温を下げる機械を使用したりします。

 

熱中症の3段階の症状を確認

熱中症では、具合の悪さを3段階に分けて表現することになっています。それぞれどのような症状が出るのか、見てみましょう。

 

1度目:めまい、立ちくらみ、吐き気、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)

2度目:頭痛、嘔吐、だるさ、脱力感、集中力や判断力の低下

3度目:意識や反応が低下する、全身がけいれんする

 

頭痛は2度の熱中症の目安になります

 

<そもそも熱中症とは?日射病や熱射病との違いについて>

熱中症の原因は、大きく3つあります。

1.体温の上昇

2.脱水

3.ミネラル(特に塩分)の不足

 

これらが関係し合って、頭痛やだるさといった症状が出るのが熱中症です。軽くふらつく程度ですむ場合もありますが、重症化すると命を失うこともあります。

日射病や熱射病という表現は古く、また紛らわしいため、現在では使わないようにしようということで、「熱中症」という用語に統一されています

 

◎熱中症になるのはどんなとき

熱中症に特に多いパターンには以下の2つがあります。

 ・スポーツや肉体労働での発症。若い男性に多い

 ・運動なし、閉めきった屋内での発症。特に高齢の女性に多い

 

若い男性が運動中に起こす熱中症はイメージがつきやすいですね。多くの方がふだんから気をつけてもいるので、現場で正しく診断がついて初期対応がなされることも多いです。もともと若くて元気な方ですので、軽症で済む割合も比較的高いです。

 

その一方で、高齢の方が暑い自宅で徐々に脱水になって、周囲の人に気づかれないうちに悪化するケースが重症化しやすいです。

毎年夏になると、冷房を使わずにすごしていて熱中症になる高齢者が増えてしまいます。

スポーツをしている場合には決まった時間ごとに休憩をとること(2時間に1回以上が目安)と、夏場は冷房を使用するか、自宅を閉めきらずに換気するというだけで、熱中症対策に十分なります。

頭痛が出るまでがまんしないで、部屋を涼しくしてください。

 

<水分補給で気をつけたいポイント>

水と塩分の両方が不足するのが熱中症です。しかし「水と塩分をこまめに!」と言われても、量が分かりにくいところです。量の目安を説明します。 まず水分です。暑い日に運動していたら、ペットボトル1本や2本では全く足りません。中高生が炎天下で1日部活動をするようなときには、4リットル、5リットルと必要な場合もあります。頭痛がするほどなら水分不足の可能性が大きいです。

まだまだ暑い日が続いていますので、くれぐれも皆さん気をつけてください。

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